コンサルタントは紙に何かを書くと言うことが好きである。それは単語を中心としたメモを取ることであったり、中には意味不明な記号のようなものを書くコンサルタント、あるいは、表のようなものを書くコンサルタントなど、実にさまざま。
いずれにしても、共通しているのは何かを残すという側面よりも、何かを整理するという側面が強いことである。
クライアントと話をしていると、頭が混乱しているクライアントが大半であることに気付く。つまり、本来は問題はないということを、延々と問題視して考えているということが多い。
それは、多くの場合、頭だけで考えようとするとそういったことになりやすいのである。
本来であれば、アクセルを踏んでどんどん前に進まなければ経営者としていけないという場合にも、なぜかブレーキを踏んでしまう。アクセルを踏みながらブレーキをかけているようでは、当たり前であるが前に進まないか、全開で前に進むことはできない。
経営コンサルタントは、紙を使ってアクセルを踏もうとする。
アクセルとブレーキの関係を簡単に言えば、「アクセルとは書き出すこと」であり、「ブレーキとは考えること」である。
経営コンサルタントは、さまざまなフレームワークを用いて整理する能力に長けている。というのも、経営コンサルタントはもともと何かを生み出すということをしているわけではない。依頼主たるクライアントの頭の中を整理しながら、解決策を導き出すことが主業務だ。
であるから、何か新しいことを経営コンサルタントが考えるということは基本的には存在しない。
つまり、コンサルタントは考えないのであるから、ブレーキを踏む必然がないのである。故に、常にアクセルを踏みながらクライアントが放つ情報をフレームに当てはめて整理していく。
すると、今までゴチャゴチャになっていたクライアントの頭の中の情報が、アクセルによって整理され、それをゆっくりブレーキを踏みながら考えていくことで本質が見えてくるようになる。
つまり、アクセル全開でガンガン情報を書き出し、それを考えるという作業のブレーキを踏みながら車を適正な駐車場に駐車するようなイメージだ。
もちろん、こんなことはコンサルタントがいなくてもクライアントだけでもできること。しかし、一人だとできないことが人数が増えることでより深いレベルで可能になるということが現実的に存在する。
経営コンサルタントというのは、クライアントの頭の中を整理しているというのが実態であって、自分で何かを生み出しているということではないのである。
だからこそ、クライアントとのコミュニケーション能力、情報整理能力は必須のスキルであるといえる。