中小企業診断士になって分かったこと
最近、当ブログでは人気記事を表示できるように設定したが、中小企業診断士に関する記事のアクセスが非常に多いようである。
確かに、中小企業診断士資格の人気は毎年安定しており、その年齢層は拡大しつつある。中心になっているのは、30代から40代のビジネスマンであるが、20代の学生が経営コンサルタントに憧れて受験するケースも増加しているようだし、50代以降の層が独立を意識して受験をすることも増えているようだ。また、女性の受験者も合格者を含めて増加傾向に見て取れる。
一方で、中小企業診断士という資格は、独占資格がないという大きな特徴がある。
たとえば、士業と呼ばれるものは、一般的にその資格を持っていなければ行うことができない業務というものが存在する。法律に関して言えば、弁護「士」、司法書「士」などはその資格を持っていなければ行うことができない独占業務を持っている。社会保険労務「士」や、不動産鑑定「士」なども同じである。
これは、会計の世界でも同様で、監査業務は公認会計「士」、税務代行は税理「士」の独占業務である。(ただし、一般的に上位資格には包括的な業務権限を与えられていることが多く、弁護士はすべての法律的な行為を行うことができるという意味で、司法書士などの独占業務を含むし、公認会計士は税理士の業務を行うことができる)
その点、良くわからないのが中小企業診断「士」であるといえる。
受験者は増えているし、人気があるものの、果たして中小企業診断士の資格の活用度といわれると謎的なものとなっているのだろう。
実際に、中小企業診断士の資格保有者(登録者)として感じることを紹介してみたい。
公的機関では圧倒的に有利、民間ではどちらともいえない
中小企業診断士は、その根拠法からして、公的機関において絶大なインパクトがある。
公的機関の代名詞といえば、中小企業診断士に関連したところでいえば商工会議所や商工会がある。こういった団体では、経営コンサルタントを企業に派遣したり、経営に関する講演やセミナーを開催しているため、コンサルタントとしては良いお得意様である。
故に、多くの経営コンサルタントが、営業に出かけることになる。実際に、商工会議所の職員と話をしていると、毎日のように電話による売り込みがあるというし、訪問をされることも多いようだ。
しかし、ここで中小企業診断新資格があると「かなり有利」であることは間違いない。中小企業診断士でなければ、相手にしないところもあるぐらいだ。それは、地方に行けばいくほど顕著になってくる。
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公的機関である以上は、いくら実績がある経営コンサルタントであっても、その実力の保証が担保されていないと使いにくいという実態があるようだ。
また、そもそも中小企業診断士資格は公的な意味での企業支援を前提に設計されていることもあって(これは根拠法を見ればわかる。また、そもそも昔は商工会議所職員や商工会職員などを中心に中小企業診断士を育成するというスタンスがあった。よって、中小企業大学校という公的な機関で中小企業診断士の育成がなされている)、中小企業診断士を優先して活用しなさい的な御触れもあるようだ。
よって、公的機関からすれば、実力のある経営コンサルタントよりも、しっかりと資格を持っている安心できる人材を活用したいというのが本音なのだ。
実力よりも、そちらを優先する傾向にある。
その是非は別として、公的機関において中小企業診断士の資格は高く評価されることは間違いない。これは、地方に行けばいくほど顕著である。
実際に、講演を行う際の講師紹介では、必ず担当者が「中小企業診断士の○○先生です」という紹介の仕方をするのも、会員事業者や参加者に対して信頼感を持って聞いてほしいというあらわれであろう。
では、その他別のところでは中小企業診断士資格はどうだろうか。
次回、中小企業診断士の認知度はどのくらい?【資格分析②】へ続く