経営コンサルタントは専門家である。専門家であるから、経営に関する知識はもちろん、その他様々な情報に精通しているものだ、と一般的にはイメージされているようだ。
結果的に、そういった風潮が、経営コンサルタントのプライドを引き上げているようだ。つまり、経営コンサルタントに知らないものは無いのだ。もっと言えば、「知らない」と言うことは許されない、それが経営コンサルタントの世界である。
良く考えれ見れば、クラインアントである依頼主からすれば、何でも知っている経営コンサルタントは先生だ。その先生に相談した時に、「知らない」と言われてしまえば、あたかも自分が突き放されたような気になるもの。その上、高い失望感にさいなまれることになる。
だから、経営コンサルタントは何でも知ったかぶりをする。特に、若手の経営コンサルタントにそういった傾向があるようだ。もちろん、善し悪しの問題ではない。
一方、経営コンサルタントはナポレオンではない。つまり、不可能と言う辞書が無いわけではない。要するに、経営コンサルタントとて、できないものはできないのだ。
優秀な経営コンサルタントは、できないことはできないときっぱり言える。そして、知らないことは知らないと簡単に言う。
知らないことをあたかも知っているかのように装うことで、依頼主が安心するということはない。依頼主は、知らないことは知らないといって欲しいと思っている。経営コンサルタントが神様だとか、魔法使いだとは思っていないのだ。
しかし、知らない・できない・NOと言わないコンサルタントは、依頼主に対して自分を魔法使いのように価値を高めようとする。しかし、現実的に知らないことなど無いわけだから、いずれは化けの皮がはがれ、そしてクライアントに失望感を与えることになる。
知らないことは悪いことでもなければ、恥ずかしいことでもない。特に、経営コンサルタントは専門化が必要な時代になった。専門化するということは、何かを詳しく知っていて、他はほとんど知らないと言うことだ。その意味で、全てのことを知っている経営コンサルタントはある意味で存在しないはずである。
知らないことは知らない、できないことはできないとしっかりと言える経営コンサルタントが魅力的な時代になったのだ。知らないといえる勇気を持つことも大切なのだ。