経営コンサルタントの報酬に一定の相場はあるが、あくまで相場に過ぎない。つまり、上限はキリがないし、下限も同様である。
例えば、講演であれば、時間単価は5万円~10万円が相場である。つまり、2時間の講演で10万円~20万円が一般的であるが、経営コンサルタントを始めたての頃には、この感覚が分からないという人が多い。
たった2時間話すだけで、20万円ももらうなど、とても提示することができないというのである。しかし、それが相場である以上、依頼者は「2時間で20万円」と言われても、先方は慣れているものだ。すんなりとそのまま通ってしまうことが多い。
経営コンサルタントの世界はそんなものだ。
しかし、そうは言っても講演にも慣れていない自分がとてもそんな金額の提示はできないという経営コンサルタントも多い。その場合は、びびることなく次のような対応をすれば良い。
例えば、講演の依頼を受けたとしよう。しかし、金額の提示に自分自身が二の足を踏んでしまうようであれば、次のように言うのである。
「私の場合、講演では標準的な金額を頂いておりますが、ご予算はどの程度お考えでしょうか?」
このように、依頼者に金額の提示をさせるのだ。そうすれば、金額のゲームになることはないし、依頼者も依頼をしてくるぐらいだから、相応の予算感を予め持っているはずである。それを、こちらは聞き出せばよい。
その答えが、自分の想定を下回っていなければそのまま引き受けるというようにする。自分の価値を相手に決めさせるのだ。
「今回は謝薄で恐縮ですが、2時間で20万円でお願いできませんでしょうか?」となれば、自分の想定内であれば引き受ければ良いし、ベテランの経営コンサルタントであればとても20万円で引き受けるのは安すぎて無理、と言う場合もあるだろう。
そういったときにはお断りをすればよい。
この場合に注意しなければいけないのは、仮に30万円と言われても、ビビらないようにすることだ。先方の提示額は、あなたへの期待値(期待額)でもある。それを、敢えて、「いやいや、私の場合は10万円でお引受けしております」などという必要はない。それは、金額を提示させておいて失礼である。
プロ意識を持って、自分の想定を超えている分には、しっかりとその額で引き受けることがポイントだ。講演に限らず、経営コンサルティングも、研修も同じである。ただし、執筆の場合には、金額はほとんど決まっているので新米経営コンサルタントだろうが、ベテランの経営コンサルタントだろうがそれほど変わらない。それは、知っておくと良いだろう。
自分を無理に安売りする必要はない。経営コンサルタントの価値は、自分で最低ラインを決めておきながら、後は相手に決めさせるのも一つの方法である。