最近、企業の人材育成ニーズが高まっている。企業はそもそも人の集合体であり、人なくして企業の繁栄はない。バブル期にももちろん人の力は重要であったはずであるが、一方で異常なまでの景気過熱がそれを隠していた面もある。
不景気になった昨今、人材育成の遅れが生じたがために業績低迷を余儀なくされている企業も多い。また、固定資産などの過剰投資は控える傾向にあり、その分の予算を人材育成に投下する企業が増えている。
そういった経緯もあり、どこの企業も人材育成に躍起になっているのだ。企業からの研修依頼は増加傾向で、経営コンサルタントに研修講師・セミナー講師の依頼が舞い込むことが増えている。
研修を専門的に行っている講師も少なくないが、それはあくまで研修に特化している場合が一般的だ。コミュニケーションやマナーなど、どこの企業でも普遍的に必要とされる研修を主に扱っている。
一方、経営コンサルタントへ依頼の研修とは、まさに問題解決型研修である。
どこの企業も何からの問題を抱えている。その問題を解決するための研修が特に最近は多い。これらは、経営全般の知識と、企業の問題点と炙り出し、解決策を導くことから経営コンサルティングに近いものである。そのため、研修を専門に扱っている講師や研修会社よりも、経営コンサルティングを行っている経営コンサルタントや経営コンサルティング会社への依頼が増えている。
経営コンサルタントであれば、当該企業の問題点を探り、それに必要な課題を見つけ、そして解決策を提示することができる。その問題点が人にあるという前提だ。
そのため、その解決策ももちろん人に絡むものが一般的で、それを研修によって解決することを実行することになる。
この場合、特徴的なことは報酬が極めて高いということだ。通常、どこに問題があるのかが明確になっていないため、従業員ヒアリング(従業員意識調査、モラールサーベイ、ES)などを行う必要があり、それだけでも結構な報酬となる。
それを参考に仮説を立て、研修カリキュラムを策定し、研修資料を作成する。これも、もちろん報酬の対象となる。そして、研修を実施する講師としての報酬まで含まれるのであるから、大きな依頼が入ればそれだけでかなりの報酬額となる。
もちろん、こういった研修は既成の教材等を使うことができない場合も多く、また、調査などにも時間が掛かることから非常に作業としては大変だ。また、1日中研修を行うというものもハードで、対象人数が多ければ同じ研修内容を5回など長期にわたって実施する必要もある。
しかし、やりがいも高い。通常の経営コンサルティングは、解決策を提示し、後の実行はクライアントにお任せだ。ほとんどの企業が、解決策の提示だけで満足をしてしまい、実行までには至らない。
研修を行う前提であれば、実行支援も可能であり、それは非常にやりがいのあることになる。上手くニーズをキャッチすることができれば、その後に長期的に経営コンサルティングを行うことも可能だ。