人に投資をする、すなわち「人材育成」のマーケットが拡大している。従来であれば、人を大量に採用して、能力ある人のみを残したり、あるいは、能力のある人材を引き抜くなどして自社の戦力としてきた。
しかし、採用コストも増え、人材の流動性も高いようで現実は優秀な人材はそれほど動かないという事実が明るみになるにつれて、人材に投資をするという考え方が増えてきている。そういったニーズが、経営コンサルタントにも仕事の幅を広げており、研修講師として活躍している経営コンサルタントも多い。
研修講師だけで、年間に数千万を稼いでいる独立経営コンサルタントもいる。どのくらい大きなマーケットが存在しているのか、お分かり頂けるだろう。
研修講師としてのメリットは、リピート性が高いことである。企業からすれば、優秀な講師であれば、変更をする必要もない。また、研修を行うためには、当該企業の情報をある程度把握しておく必要もあり、内部機密的な情報も一部含まれる。そういった背景からも、できれば優秀な講師を変えることなく使い続けたいというように思うようだ。
経営コンサルタントが研修講師としてリピートを獲得するためには、2つのポイントがある。
まずは、企業のニーズを満たすこと。単純であるが、お金を払うのはあくまで企業であって、社員個人ではない。そのため、企業あるいは企業の人事担当者が満足する企業研修を行うことが大前提になる。
もう一つは、参加者の満足度である。参加者たる社員が満足しない研修では、結果的に企業あるいは企業の人事担当者も満足することはない。
つまり、社員が満足すれば、結果的に企業あるいは企業の人事担当者が満足するので、社員の満足度を高めることがリピーターとなってもらうためには重要だ、と言う結論が導かれる。
しかし、ここには大きな矛盾がある。それは、社員が求める満足と、企業側の意向が微妙に異なることである。
社員からすれば、自分たちが役に立つ、あるいは楽しい研修を望んでいる。一方、企業あるいは企業の研修担当者は、企業の意図に沿った研修を実施して欲しいと思っている。通常、企業側のニーズと、社員側のニーズは相反関係にあることが多い。
そのため、経営コンサルタントは両者のニーズを満たす最適な研修プログラムを組み立てる必要がある。例えば、企業側の意向から作成されるカリキュラムは非常につまらない内容になりそうになった。こんな場合には、その要所要所で、参加している社員が楽しめるような話題やゲームを挟んだり、様々な工夫が必要になる。
企業と社員の意向を上手くコーディネートして調和を保った社員研修を行うことができれば、必ずリピートの依頼がくるはずだ。