経営コンサルタントは、魔法使いではない。
そこを勘違いしている経営コンサルタントはあまりいないと思うが、依頼側のクライアントにはそういった人が多いのだ。
経営コンサルタントに頼めば「素晴らしいアイディアが出てくる」「売上を増やしてくれる」そんな関心事を抱いている。あたかもコンサルタントを紙のように崇拝するクライアントまで存在しているが、それは過度な期待をしすぎである。
そういった幻想を抱かせてしまう経営コンサルタントも問題があるといえばあるのであるが。
経営コンサルタントは「整理」する能力に長けている。
つまり、経営者が考えていることは一般的にゴチャゴチャしてしまっていることが多い。経営コンサルタントはそういったゴチャゴチャしている経営者の交通整理を行なうことがメインとなる。
経営コンサルタントがアイディアを出すのではなく、経営コンサルタントは経営者の頭の中を整理しながら、適切な方向に導いていくことがポイントなのだ。
その意味で、経営コンサルタントに求められるのは整理能力であり、それを可能とするのがさまざまなフレームワークである。
フレームワークを用いて経営者の頭の中を共に整理していく。これが経営コンサルタントの役目と言ってもよいだろう。
その過程で、さまざまな知識が経営コンサルタントには求められることになるのだ。
例えば、経営戦略を考えるためのフレームワーク(SWOT分析など)だったり、マーケティング戦略を構築するための戦略フレームだったり。
また、経営者が「自分で考えた(整理した)」と思わせるようなコーチング能力だったり。
そういった引き出しをいくつも持っていることが、経営コンサルタントには求められているのである。
経営コンサルタントが習得しなければならないのは、そういった大量の情報を整理するような手法そのものである。そのためのケーススタディや実践経験の豊富さが必要である。
誤解してはいけないのは、経営コンサルタントは経営者(クライアント)に代わって、経営の方向性を導き出したり、戦術を実行する役目ではないということ。コンサルタントが自分でやっても経営者に感謝はされるかも知れないが、それではコンサルタントとしての本質的な職務を全うしていない。
そうではなく、経営コンサルタントが不在であってもクライアントが自ら考え、行動することができることを提供する必要がある。
その多くは見えないものであるが、見えないものであるからこそ、経営コンサルタントの力量がそこでは試されていると考えて良いだろう。
経営コンサルタントとしての価値とは何か。それをしっかりと認識して経営者と対峙しないと、経営者に依存を生みだすことにつながり、コンサルタントとしての使命を全うすることができなくなってしまうので注意が必要となる。