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コンサルタントの現実

経営コンサルティングが上手く行かない理由

コンサルタントの業務は多岐にわたるが、一般的にコンサルタントの業務を象徴するのが、コンサルティングである。コンサルティングの定義は様々あるが、結論から言えば「クライアント企業の業績を向上させること」である。

業績を向上させるために、問題解決や様々な手法は存在するが、結局行きつくところは「業績の拡大」である。人の問題も、お金の問題も、全ては業績を拡大するために解決が迫られていることだ。

経営コンサルタントといえば、経営コンサルティングが主要な業務。しかし、コンサルティングで成果を出すのはなかなか難しい。

クライアント企業が経営コンサルタントに依頼する、あるいは雇う理由も、最終的には「業績拡大」にある。

だとすれば、経営コンサルタントとしての実力が試されるのはまさに経営コンサルティングの場であり、研修や講演などは経営コンサルティングを行うための営業活動に過ぎない。(もちろん、講演によりやる気を引き出し、知識を提供することで参加者の業績向上に間接的に関与することはできる。しかし、経営コンサルティングは直接的に関与するという意味で、経営コンサルタントからすれば真剣勝負の場になる)

経営の専門家である経営コンサルタントの腕の見せ所が経営コンサルティングにあるのだが、これが実は多くの場合成果を出せないでいる。

理由はいろいろある。経営コンサルタントが誤った支援をしたという可能性もあるし、手遅れだったと言うこともあるだろう。

しかし、最大の理由は1つだけだ。

その理由とは、依頼先にクライアント企業にある。つまり、クライアントが経営コンサルタントの指摘通りの行動を取ってくれないのだ。

ほとんどの経営コンサルティングは、ここで失敗していると言えるだろう。

経営コンサルタントをある程度続けていれば、クライアント企業の問題や課題を発見するのはそれほど難しくはない。特に、MBAなどでケースを散々勉強してきた人であれば、ほとんどの場合一定の枠に収まってくる。

そのぐらい、どこの企業も抱えている問題というのは似ているし、偏っている。

だから、経営コンサルタントがそれほど大きな判断を誤るということはない。しかし、経営コンサルタントと言うのは、ある種クライアント企業の参謀的な役割であり、主体ではない。

つまり、経営コンサルタントは自らが率先して経営の指揮をとることはないのだ。そのため、それがどんなに良い提案や問題解決の内容であっても、実際に動きを取るクライアント企業の腰が重ければ成果は出ないということだ。

経営コンサルタントからすれば、こうすれば明らかに業績が回復することは明らかで、それもしっかりと社長に進言している。にも関わらず、社長はなかなか動いてくれないので、結果的に業績向上どころか、むしろ経営コンサルタントに支払う報酬の分、業績が悪化するという悲劇を招くことになる。

当然、経営コンサルタントが全て、いつ何時も正しいとは限らない。しかし、クライアント企業を動かすのは非常に難しいのだ。結果として、多くの企業で業績向上のアイディアや具体例が存在しているのに、それを無視した経営を続けているのだ。

確かに、クライアント企業がしっかりと行動を起こすことまで含めて経営コンサルタントの業務だろう、とあなたは思うかも知れない。しかし、現実的には経営コンサルタントは1社だけのコンサルティングを行っているわけではなく、そこまで深入りすることができないというのが現状だ。

理想論で言えば、実行の支援、評価、修正などPDCAに則った総合支援まで行うことができれば善しだが、なかなかそうはいかない。もし、あなたが今後経営コンサルタントになるのであれば、あるいは既に経営コンサルタントの立場であるとしたら、似たようなジレンマに陥っていることだろう。

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