あなたは最近誰かに怒られたり、叱られたりしたことはあるだろうか?上司に怒られた、奥さんに叱られた・・・
誤解を恐れずにいえば、「怒ってくれる人がいる」「叱ってくれる人がいる」というのは、ある意味非常にありがたいことである。なぜならば、自分のことをしっかりと見ていてくれる人がいるということになるからである。
人間というのは、たえず誰かに見ていてもらいたいという欲求をもっているものである。それは、年齢や性別に無関係であり、むしろ年齢が高くなればなるほど怒られるという機会は減る。
だからこそ、ある意味で「怒られる」ことが少なくなり、怒られないということは誰にも注目されていない、そんな心境になるものだ。
特に、経営者はこの傾向が強い。社長である限り、誰かに「怒られたり」「叱られたり」することは基本的にない。これは、小さい企業であっても大きい企業であっても同じことである。
陰で社長の文句を言う部下はいても、正面から怒る部下は少ない。また、社長に対して文句をいう部下は存在していても、叱る部下は皆無である。そもそも自分よりも目下の人間に何を言われても「怒られている」「叱られている」という感覚は持ちにくく、文句を受けているようにしか思えないのが現実だろう。
経営コンサルタントの役割の一つに、外部の客観的な視点から、あるいは対当な立場から社長に対して「怒る」「叱る」というものがある。
自分にとっての営業的な側面を考えれば、自分の顧客であるクライアントに対して怒るなどということはあり得ないという考え方もあるが、実はそうではない。
社長というのは、誰かに怒られてり叱られることを実は望んでいるのだ。
たとえ社長であっても、自分の行っていることが正しいのかどうか迷うことがある。しかし、そういった部分を部下に見せるわけにはいかない。毎日、不安と自信の葛藤のなかにいるのが社長だ。
経営コンサルタントは、そういった社長の置かれた立場や心理状態をしっかりと把握することで、必要に応じて社長に対して苦言を呈することも求められているのである。
明らかに間違った方向にクライアントが進もうとしているのならば、経営コンサルタントとしてしっかりとそれを進言することが必要だ。
場合によっては、クライアントと喧嘩になることもある。しかし、それで気に入らないといわれたとしたらそれはそれで仕方のないことだ。クライアントに迎合するあまり、明らかに間違った方向に進もうとしているのを見過ごすよりは、契約を破棄したほうがお互いのためである。
経営コンサルタントに叱られて喜ぶ社長は意外と多いのである。もちろん、何でもかんでも怒れば良いというものではない。
しっかりと社長のことを見た上で、必要に応じて苦言を呈する姿勢が社長の満足度を高めることになるのである。