民間企業において、「口コミ」の存在は非常に重要である。自分でいくら良い!と言っても、それはあくまで本人が言っているだけの話。真実性も薄いし、多くの人は単なる誇大宣伝だと思うだろう。
一方、人を介在した情報は信憑性を増すことになる。ましてや、自分が信頼している人から言われたことは、余計に真実味を持って受け入れられる。
新聞などにパブリシティとして掲載されることも同様だ。新聞が持つ信頼性が、そこに記事として紹介されることによってその信憑性を担保する。企業の製品やサービスがテレビや新聞で紹介されるや否や、ブームになるというのは周知の通り。
同様に、権威のある人間からの推奨も極めて高い効果を持つ。タレント愛用品などというのも、ブームに火をつける要因となる。タレントと言う信頼性がそこにあるからで、あのタレントが使っているのならば安心だという心理がある。
上記のように、人の口コミは非常にインパクトを持つのであれが、実は経営コンサルタントの場合には優秀であればあるほど、口コミが起こりにくい。通常であれば、良いものであればあるほど口コミになるのに、なぜ逆の反応が出てくるのか。
それは単純だ。クライアントが口コミを流さないからである。
その理由も単純だ。クライアントは優秀な経営コンサルタントを独り占めしたいからである。
クライアントと言うのは、一人で儲けたいという意識が強い。その立役者に仮に経営コンサルタントがなったのであれば、誰にもその事実は言わない。つまり、自分が儲かっているというのを敢えて人に言うクライアントは少ないのだ。
また、当該経営コンサルタントが有名になってしまえば、自分が払っている報酬が高くなる可能性がある。また、独り占めしたいにも関わらず、当該経営コンサルタントの業務が忙しくなってしまえば、自分のことをそれほど見てくれなくなってしまう。
だから、良い経営コンサルタントを知っていても、人に紹介するようなことは利口なクライアントであればしない。良く考えてみれば当然のことだ。
だから、優秀な経営コンサルタントほど、口コミによる紹介案件が起こりにくいという矛盾が起こり得る。これはこれでおかしな話であるが、事実である。
インターネット全盛の時代において、良い経営コンサルタントの情報は極めて少ない。しかし、評判の悪い経営コンサルタントの情報を探すのは簡単だ。
クライアントは、ダメな経営コンサルタントに対しては容赦なく悪い口コミ流す。良い口コミは流さないのにも関わらず、悪い口コミはどんどん流してくれるのだ。
経営コンサルタントは怖い職業だといえそうだ。