経営コンサルタントにとって、まさに暇に対する恐怖は驚くほど大きいといえる。特に、死ぬほど忙しい時期を乗り越えて、自分の中では一皮向けたと思った時にやってくる暇な時期は恐怖そのもの以外の何者でもない。
もちろん、これらの話は経営コンサルタントだけではなく、自営業者であれば同じような恐怖を抱えているのは同じことである。
しかし、経営コンサルタントの場合には商品やサービスは「自分自身」であって、暇ということは自分自身に対する評価と直結して考えることが可能である。
だからこそ、余計に辛い。
特に、暇ということは端的に言えば「仕事がない」ということであり、将来のことを考えても非常に心配となることが多い。
一般企業の正社員であれば、暇であることは潰れないような優良企業を前提に考えれば非常にうれしい限り。残業代もつかないような時代にあっては、できるだけ仕事は暇でありたいと思う。
一方、経営コンサルタントの場合には、できるだけ仕事を確保しておかないと自分の収入に直結するだけに非常に怖いわけだ。
ただし、経営コンサルタントの場合には誰に管理されているわけでもなければ指図を受けることもない。つまり、すべては自分の自由の範囲内にある。
ここが勤め人とは異なるところなので、隣の芝生は青いという状況でもあるといえる。
あなたは最近誰かに怒られたり、叱られたりしたことはあるだろうか?上司に怒られた、奥さんに叱られた・・・
誤解を恐れずにいえば、「怒ってくれる人がいる」「叱ってくれる人がいる」というのは、ある意味非常にありがたいことである。なぜならば、自分のことをしっかりと見ていてくれる人がいるということになるからである。
人間というのは、たえず誰かに見ていてもらいたいという欲求をもっているものである。それは、年齢や性別に無関係であり、むしろ年齢が高くなればなるほど怒られるという機会は減る。
だからこそ、ある意味で「怒られる」ことが少なくなり、怒られないということは誰にも注目されていない、そんな心境になるものだ。
特に、経営者はこの傾向が強い。社長である限り、誰かに「怒られたり」「叱られたり」することは基本的にない。これは、小さい企業であっても大きい企業であっても同じことである。
陰で社長の文句を言う部下はいても、正面から怒る部下は少ない。また、社長に対して文句をいう部下は存在していても、叱る部下は皆無である。そもそも自分よりも目下の人間に何を言われても「怒られている」「叱られている」という感覚は持ちにくく、文句を受けているようにしか思えないのが現実だろう。
経営コンサルタントを目指す人の多くは、独立を志向しているようだ。もちろん、すぐに独立というわけではなく、将来的に独立したいというコンサルタントの方が多いだろう。すぐに独立してクライアントを簡単に獲得できるほど経営コンサルタントの世界は甘いものではない。
相当特殊な能力や実績、高度な専門性があれば別であるが、通常であれば一定期間を修行的に過ごし、その上でタイミングを見て独立を図る。実際には、独立して食えるという経営コンサルタントはわずかであり、企業内で活躍する道を長期的に余儀なくされるケースも多い。
経営コンサルタントには変わり者?が多いこともあって、独立志向が高い人が多い。どちらかというと、組織ではアウトロー的であり、あるいは、異端児的な人が多数を占める。(これは自分も含めて誤解のないように注釈をしておきたいが、けなしているわけでも馬鹿にしているわけでもない。むしろ、経営コンサルタントにとって変わり者というのは一種のステータスでもある)
従来であれば、独立して一匹狼的な経営コンサルタントとして活躍する道があった。もちろん、今でもその道は存在しているが、やはり最近多いのはコンサルタント同士がネットワークを使ってチームでコンサルティングを行う業務である。
経営コンサルタントは、良い口コミはなかなか広がらないことは以前ご紹介した通りだ。
その理由は簡単だ。クライアント企業、すなわち顧客が経営コンサルタントを独り占めしようとするからである。優秀な経営コンサルタントとは、クライアントに利益をもたらすことができる能力を持つ。
規模が大きい企業であれば、その利益の額たるや半端ではない。つまり、優秀な経営コンサルタントはクライアントから見れば、自分たちに利益をもたらしてくれる打ち出の小槌のようなもの。そういった道具を手放すクライアントは少ないだろう。また、経営コンサルタントを紹介することで、自分のところを見てくれなくなる可能性もあるし、報酬額の変更を経営コンサルタントから言われる可能性もある。経営コンサルタントも顧客が増えれば、それなりに報酬増額を検討するからだ。
だから、人に紹介せずに、自分だけが儲かろうとする。これがクライアント側の心理である。もちろん、それがいけないわけではない。実際、経営コンサルタントとしても、安定的な顧問報酬をもらうことができるクライアントがいれば、長期的に収入は安定する。もちろん、お互いに依存関係になるのは良くないとしても、お互いにデメリットがなければそれはそれで問題ないとも言える。
一方、上手く行っている場合には問題にならないが、クライアントの怒りを買うと面倒なことになるのが経営コンサルタントでもある。
経営コンサルタントは、やはり特殊な職業なのだろうか。もちろん、経営コンサルタント同士での会話は弾むし頻繁に情報交換を行っているところだ。しかし、なぜか昔の友人とは話が合わない。
恐らく、同じことを感じている経営コンサルタントは多いことだろう。経営コンサルタントの多くは、独立志向が強く、一匹狼的な人が多い。もちろん、勤務経営コンサルタントであれば、会社員という前提にはなるが、それにしてもどこか普通のサラリーマンとは異なるものがある。経営コンサルタントとしての知識を持てば、例えサラリーマンであっても、一般的な会社のサラリーマンとは少し考え方が違うということはあるだろう。
つまり、経営コンサルタントは一般的なサラリーマンよりも、掲げる目標やそれに向かう行動力が少し強いのかも知れない。そういったことの積み重ねが、物の見方を変え、視点を高めているのかも知れない。
安定を好むことが良いとか、独立志向が良いということではない。社会に出るまで、つまり学生時代においてはそれほど価値観や物の見方・考え方に個人差が生じることは少ない。