経営コンサルタントの大きな業務として、「話す」というものがある。ここで言う話すとは、ある程度まとまった人数の前で「話す」ということであり、具体的には講演や研修・セミナーなどのことである。
講演とは、経営コンサルタントの持つ専門性を活かした話をするのが基本となる。テーマありきで先方から依頼される場合もあれば、自分から講演テーマを決めて、各団体に提案することもできる。講演で成功するためには、まずは実績作りが非常に重要である。
どこどこで講演を行ったという実績があれば、依頼する側も安心して依頼することができる。経営コンサルタントを講師として呼んだのは良いが、話が単調で眠くなったり、あるいは全く見当外れの内容だったという経験を依頼者は少なからず持っているものだ。
そのため、講師を招聘する場合には慎重にならざるを得ない。その時に参考にするのが、過去の講演実績である。実際に聴講して依頼するというのは難しいのが現状であるが、過去にたくさんの講演実績があれば「それほど酷くはないだろう」という心理が働く。そのため、講演で稼ぐためには、まずはいろいろなところで講演を行うことがポイントになる。この講演実績は将来にわたって役立つものである。
経営コンサルタントの報酬に一定の相場はあるが、あくまで相場に過ぎない。つまり、上限はキリがないし、下限も同様である。
例えば、講演であれば、時間単価は5万円~10万円が相場である。つまり、2時間の講演で10万円~20万円が一般的であるが、経営コンサルタントを始めたての頃には、この感覚が分からないという人が多い。
たった2時間話すだけで、20万円ももらうなど、とても提示することができないというのである。しかし、それが相場である以上、依頼者は「2時間で20万円」と言われても、先方は慣れているものだ。すんなりとそのまま通ってしまうことが多い。
経営コンサルタントの世界はそんなものだ。
しかし、そうは言っても講演にも慣れていない自分がとてもそんな金額の提示はできないという経営コンサルタントも多い。その場合は、びびることなく次のような対応をすれば良い。
経営コンサルタントが研修講師を行うと言うケースは良くある。研修と言うものは、一種の教育であるから、経営コンサルタントでなくても行うことは可能だ。
事実、研修会社の研修講師、すなわち専属の研修講師は経営コンサルタントとは限らない。研修会社で研修のノウハウを叩き込まれ、現場で訓練を重ねた研修講師が多い。こういった研修講師は、基本的に「マナー研修」など一般的に体系化あるいはカリキュラム化されている研修を受け持つことが多い。
一方、社員研修のオーダーと言うのはまさに多種多様で、実際には既存のプログラムの枠には収まりきれないことも多い。この場合、その会社内で起こっている問題を取り上げ、そしてそれを解決するための研修を行うことになる。
この場合、会社がどうなっているのか、現状分析を行いながら、それに最も適した研修プログラムを組み立てる必要があるため、経営的な知識が必要だ。このような研修では、現場を知っている経営コンサルタントの方が向いている場合が多い。
実際に、中小企業診断士を持ち、研修講師として活躍している経営コンサルタントは意外と多いのだ。
経営コンサルタントをなりたい職業に挙げる人は多いようである。しかし、成功している経営コンサルタントはそれほど多くはない。もちろん、何を持って「成功」と定義付けるのかは人によって異なるところだ。
ここでは、成功を「報酬・収入」と定義付ける。なぜならば、儲かっている経営コンサルタントは、それなりの価値を提供しているからである。依頼主であるクライアントは価値に対して報酬を支払う。であれば、儲かっていることはより多くの価値を提供していると言うことに他ならない。つまり、価値を提供し続けることができる経営コンサルタントが社会的ニーズが高いといえ、それはその経営コンサルタントの報酬・収入額によって計ることができるのだ。
それが現実である。
お金至上主義の是非は別としても、少なくても自分が依頼主たるクライアントの立場に立てば、「儲かっている経営コンサルタント」に依頼したいと思うだろう。
そもそも、自分が儲かっていない経営コンサルタントは、経営に関して「失敗」しているともいえる。自分自身の経営が成功していない状況にあって、人の会社の経営を成功に導くことができるのかどうかは極めて疑問である。
こういった図式の中で、儲かって仕方のない経営コンサルタントと、全く儲からない経営コンサルタントの二極化が進んでいるのだ。儲かる人にはどんどん仕事が舞い込み、儲からない人には全く仕事はやってこない。
断れば断るほど、仕事は増えるという皮肉な現実が経営コンサルタントの世界には存在するのである。
経営コンサルタントを開業する場合、かなりのローコスト開業が可能である。基本的には、電話1台あれば開業は可能となる。
イニシャルの投資も必要なければ、オペレーションコストもほとんど必要ない。案件によってはかなりの交通費が必要になることはあるが、いずれは持ち出し分も精算されることになる。開業に必要なコストと言えば、強いて言えば「自分への投資」であろう。
それは、今まで培ってきた経験で全てカバーすることができるかも知れない。しかし、そこにも多くの時間と失敗・成功などの試行錯誤が投下されている。中には、あらたに経営コンサルタントになるために投資をする人もいるだろう。その投資分の時間とお金が開業コストに該当することになる。
以上のように、経営コンサルタントを開業するためには基本的に設備投資たる固定費はゼロに近い。これは、開業をするという観点で考えればお手軽である。
そもそも、経営コンサルタント業は、原価と言うものが存在しない。仕入れるものは基本的にないのだ。だから、報酬そのものは丸々自分のものとなる。