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コンサルタントの条件

コーチング能力と経営コンサルタント

経営コンサルタントに求められる能力は幅広いといえる。一方で、業務をこなすために必要となる「中核」である能力はかなり限定されるというのが現状だ。

その中核的な能力・知識とは経営の知識でもなければ、何らかの業界・業種の専門性ではない。カリスマ性でもなければ、細かな販売促進のテクニックでもない。実は、コーチング能力が経営コンサルタントにとっては極めて重要なスキルである。

経営コンサルタントに必要なスキルはたくさんあるが、実は中核的なスキルといえばそれほど多くは必要としない。実は、コーチングのスキルが極めて重要なスキルなのである。

コンサルタントとして多くの場数を踏めば踏むほど気付くことがある。それは、業界や業種などの知識が重要なわけでもなく、小手先の技術が重要なわけでもない。

もちろん、最初のうちは様々な顧客と接しながら経験を積むことも大切であるが、最終的な一つの真理に落ち着く。

それは、経営コンサルタントに依頼するクライアントはその大多数が自らの問題を知っており(あるいは気付いており)、なかなか行動に起こす事ができないという現実にあること。しかも、その事実そのものに気付いているクライアントも少なくない。

この場合、経営コンサルタントに求められているものは、単純にクライアントの背中を押すことだったり、クライアントに勇気を与えることだったりする。

結論からいえば、クライアントが大きく業績を伸ばすか否かというのは、クライアントが実行に起こすかどうかで100%が決まる。

つまり、経営コンサルタントとしての手腕・力量というのは、クライアントに良い提案を与えることでもなく、手取り足取り何かを教えることでもない。

クライアント自らに気付かせ、そして行動を促す。この2点だけである。

しかし、これが最も難しい。だから、経営コンサルタントは、クライアントが自ら「気づき」を得る前に答えを与えてしまうことが多い。しかし、答えを教えてしまうと、クライアントはそれで満足してしまい、行動に移すことはなかなかない。(そもそも、自分で問題を把握し課題を踏まえた行動に起こせるクライアントであれば、経営コンサルタントに依頼そのものをしないということだ)

であれば、経営コンサルタントはコーチングの手法を用いて、クライアントに自ら気付かせるというのはまずは最も重要になる。その後、モチベーションをかけてクライアントが行動を起こすように促す。

基本的に、クライアントは自分で問題や課題を抱えている状況にありながら、頭の中が整理できていないから相談に来たり、依頼をしてくるのが基本的なケースである。「何が問題なのかわからない」というクライアントであっても、実は自分で問題点を明確に理解しているケースが大半だ。

しかし、嫌なところは自分で見たくないという心理状況から、目を背けようとしている。それを踏まえたうえで、クライアントに働きかけを行うのが経営コンサルタントである。

経営コンサルタントというのは、このように考えれば、コーチと同じである。世の中の経営コンサルタントと言われる人々は、自分から話すことが好きな人が多いように思う。しかし、コーチングの視点に立てば、それは根本的に何かがずれていると考えざるを得ない。

いかにしてクライアントから引き出すか、が経営コンサルティングの成否を握るのだ。

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